本記事では学生、アルバイト、フリーター、ニートの方などで国民年金の支払いが難しい方のための国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度について解説します。国民年金への加入と保険料の支払いは国民の義務ですので、支払いをしていないと将来年金が貰えなくなるなど、大変なことになる場合もあります。そんな方々にたいしては保険料の免除・納付猶予制度という救済措置がありますので、必要な方はかならず申請をしておきましょう。
ニート・フリーターの国民年金免除【申請方法と年収条件】
日本国内に住んでいる20歳以上の人は国民年金への加入義務があり、毎月保険料を納付しなければいけません。そのため、会社員や公務員の方だけでなく、学生、アルバイト、パート、ニート、フリーターの方であっても基本的には保険料を納付しなければいけません。
<以下の人たちも国民保険料の納付が必要>
・学生
・アルバイト、パート
・ニート、フリーター
<国民年金の保険料>
2019年の国民年金保険料は月額16,410円となっています。年間では約20万円になりますので、仕事をしていない方やパート、アルバイトの方にとっては少なくない金額ですね。
国民年金保険料の納付は年収条件を満たすニート・フリーター等は免除申請ができる
先ほど国民年金の保険料は、学生、アルバイト、フリーターの方でも支払いをしなければいけないというお話をしましたが、実は国民年金保険料の納付が難しい人で一定の要件に該当する人は、保険料の納付免除を受けることができるようになっています。
厚生年金に加入していない人(パート・アルバイト・ニート等)の国民年金免除の種類と条件
厚生年金に加入していないパート、アルバイト、フリーター、ニート等の方に対する免除制度には全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除の4種類があります。どの免除制度を適用するかにより、納める保険料や将来貰える年金額に違いがあります。
<免除制度の種類と保険料>
区分 | 月額 | 年額 |
全額免除 | 0円 | 0円 |
3/4免除 | 4,100円 | 49,200円 |
半額免除 | 8,210円 | 98,520円 |
1/4免除 | 12,310円 | 147,720円 |
※通常の納付 | 16,410円 | 196,920円 |
フリーター、ニート等が国民年金免除を受けるための条件(年収など)
国民年金保険料の免除制度には全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除の4種類があり、どの制度を適用するかによって条件が異なります。
<免除制度と所得要件>
区分 | 所得要件 |
全額免除 | (扶養家族数+1)×35万円+22万円 |
3/4免除 | 78万円+(扶養家族数×38万円) |
半額免除 | 118万円+(扶養家族数×38万円) |
1/4免除 | 158万円+(扶養家族数×38万円) |
具体的に世帯の形態ごとに要件の計算例を作ると以下のようになります。
例)単身世帯の場合
所得ベース | 収入ベース | |
全額免除 | 57万円 | 122万円 |
3/4免除 | 78万円 | 143万円 |
半額免除 | 118万円 | 194万円 |
1/4免除 | 158万円 | 252万円 |
例)2人世帯(夫婦のみ)の場合
全額免除 | 92万円 | 157万円 |
3/4免除 | 116万円 | 192万円 |
半額免除 | 156万円 | 248万円 |
1/4免除 | 196万円 | 305万円 |
例)3人世帯(夫婦、子1人、子は16歳未満)の場合
所得ベース | 収入ベース | |
全額免除 | 127万円 | 207万円 |
3/4免除 | 154万円 | 246万円 |
半額免除 | 194万円 | 302万円 |
1/4免除 | 234万円 | 360万円 |
年金免除を受けた人は老後年金はどうなる?【ニート・フリーターの老後保障】
将来、国民年金から年金(老齢基礎年金)を受給するためには、保険料を納付した期間が10年以上必要になります。全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除となった期間は、保険料を納付した期間として計算することができます。
<受給資格が貰えるパターン>
・国民年金を40年間納付した場合見
・国民年金を10年間は全額免除、30年間は未納だった場合
<受給資格が貰えないパターン>
・国民年金を5年間は納付、35年間は未納だった場合
免除制度を受けた人の将来貰える年金額
全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除のうちどの免除制度を適用するかによって将来受け取る年金の額に違いがあり、表にまとめると以下のようになります。全額免除を例にとると保険料を納付しないにも関わらず、将来の受け取る年金額は増えるので、大変ありがたい制度ですね。
<免除制度と将来の年金受給額①>
区分 | 年金受給額への影響 |
全額免除 | 納付した場合の1/2が貰える |
3/4免除 | 納付した場合の5/8が貰える |
半額免除 | 納付した場合の6/8が貰える |
1/4免除 | 納付した場合の7/8が貰える |
<免除制度と将来の年金受給額①>
区分 | 将来貰える年金(年額) |
全期間(40年)を全額免除 | 約39万円 |
全期間(40年)を3/4免除 | 約49万円 |
全期間(40年)を半額免除 | 約59万円 |
全期間(40年)を1/4免除 | 約68万円 |
全期間(40年)を納付 | 約78万円 |
ニート・フリーター等の国民年金免除制度の申請方法【条件審査あり】
納付が困難になった場合にとても助かる免除制度ですが、適用を受けるためには申請を行い、承認を受ける必要があります。この申請をするためには必要な書類をそろえて各自治体等に提出します。
<申請に必要な書類>
①必須書類
・国民年金保険料免除・納付猶予申請書
・年金手帳又は基礎年金番号通知署のコピー
②場合により必要な書類
・前年(または前々年)所得を証明する書類
・所得の申立書(所得についての税の申告を行っていない場合)
・雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し
(雇用保険の被保険者であった方が失業等による申請を行う場合)
<申請先>
住民登録している市区町村役場の国民年金担当窓口
国民年金保険料の学生納付猶予制度(学生納付特例制度)
日本国内に住んでいる20歳以上の人は、国民年金の被保険者になるため、例え学生であったとしても保険料の納付義務があります。20歳以上なので大学生や大学院生などが主に該当するでしょう。学生の場合は基本的に定期的な収入がないと思いますので、両親の支援などがなければ保険料の納付が難しいケースが多いと思います。そんな方のために、学生には保険料の納付猶予制度が設けられています。
学生が適用を受けることができる納付猶予制度とは?
学生の納付猶予制度が適用されるとその期間中は国民年金保険料を納付する必要がありません。納付猶予となった期間は、年金の加入資格を得るための期間にはカウントされますが、将来貰える年金額には加算がありませんので注意が必要です。
<将来貰える年金の受給資格との関係>
将来、国民年金から年金(老齢基礎年金)を受給するためには、保険料を納付した期間が10年以上必要になりますが、納付猶予となった期間はこの期間にカウントされます。
<将来貰える年金の受給額との関係>
納付猶予となった期間については、将来受け取る年金には加算がありません。
学生の納付猶予制度の適用条件(年収など)
学生の納付猶予制度を適用するためには、以下の所得要件を満たす必要があります。
<所得要件>
118万円+(扶養親族等の数×38万円)
学生で扶養親族がいる方は少ないと思いますので、一般的には所得が118万円未満であることが要件になります。
学生の納付猶予制度の申請方法
学生のための納付猶予制度ですが、適用を受けるためには申請を行い、承認を受ける必要があります。この申請をするためには必要な書類をそろえて各自治体等に提出します。
<申請に必要な書類>
・国民年金保険料免除・納付猶予申請書
・年金手帳又は基礎年金番号通知署のコピー
・学生であることを証明する書類(学生証など)
<申請先>
・住民登録している市区町村役場の国民年金担当窓口
・最寄りの年金事務所
・在学中の学校(学校が認可を受けている場合のみ可)
まとめ ニート・フリーターの国民年金免除【申請方法と年収条件】
年金に関する手続きは「まだまだ先のこと」と考えて手続きがおろそかになってしまっている方もいるのではないでしょうか。将来、「年金が貰えない!」となってからでは遅いので、保険料の納付が難しい場合は、保険料の免除制度の申請を検討しましょう。