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老齢基礎年金のまとめ |満額は約78万円、繰下げ繰上げ受給で得なのは?

老齢基礎年金のまとめ |満額は約78万円、繰下げ繰上げ受給で得なのは?

老後の生活の基盤になるのが国民年金から支給される老齢基礎年金。

本記事では老齢基礎年金の支給金額や受給開始年齢、老齢基礎年金をもらうために支払う国民年金の保険料の推移など、国民年金の仕組みについて、ファイナンシャルプランナーの筆者がわかりやすく解説します。

老齢基礎年金とは?支給開始年齢は65歳、満額で年間約78万円がもらえる【計算式あり】

老齢基礎年金とは、国民年金に加入して一定の条件を満たした人が、65歳から受給できる年金です。老齢基礎年金がいくら貰えるかは加入期間や納めた保険料によって異なりますが、最も多い人の金額(満額)は年間780,100円(2020年現在)です。

 

<老齢基礎年金の満額での受給額>

年間780,100円(2019年現在)

 

<老齢基礎年金の支給開始年齢>

原則65歳

 

老齢基礎年金の満額での受給額は年度によって変わります。従って、上記の年間780,100円は、2019年の金額になります。

また老齢基礎年金の支給開始年齢は、”原則”65歳とされており、最速で60歳から支給開始ができる「繰上げ受給」、遅くしたい場合は70歳から支給開始できる「繰下げ受給」を選ぶことができます。「繰上げ受給」「繰下げ受給」について詳しくは後述します。

 

老齢基礎年金をもらうために加入が必要な国民年金は、20歳~60歳まで加入する(保険料を納付する)ことができます。20歳~60歳までの間に保険料を納付していない期間がある場合には、先ほどの満額から一定の計算式により、減額された金額が支払われます。

 

<老齢基礎年金の受給額の計算式(満額ではない場合)>

老齢基礎年金の受給額の計算式(満額ではない場合)

ここでいう保険料納付月数とは、通常の国民年金保険料を納付した月数のことを言います。また、3/4納付月数、半額納付月数、1/4納付月数、全額免除月数は、後述する”保険料免除制度”により、国民年金保険料の納付が免除された月数のことです。

 

<保険料納付月数>

国民年金の保険料を納付した月数のこと

 

<3/4納付月数、半額納付月数、1/4納付月数、全額免除月数>

後述する保険料免除制度により、保険料の一部または納付が免除された月数のこと

 

国民年金の保険料と保険料免除制度【老齢基礎年金の受給額が変わる】

国民年金は20歳~60歳の方が加入する義務があり、加入期間には毎月国民年金の保険料を納付しなければいけません。この国民年金の保険料は、月額16,410円(2019年現在)となっています。

 

<国民年金の保険料>

月額16,410円(2019年現在)

 

参考:日本年金機構

国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構

 

国民年金の加入期間は、40年=480月ですから、保険料の総額は月額16,410円×480月=7,910,400円になります。ひと月の金額は小さくても、40年間支払うと約800万円。けっこう大きな金額ですね。

 

納付方法は、会社員や公務員の場合は会社などで給与天引きにより納めることになります。自営業者などでご自身で納める場合には、現金のほかクレジットカード払いも可能です。また、保険料をまとめて前払をすると割引を受けることができるのでお得です。

 

<国民年金保険料の納付方法>

会社員・公務員 → 給与天引き

自営業者 → 現金やカードで自分で納付

 

 

この国民年金から貰える老齢基礎年金は、満額で年間780,100円でした。つまり、国民年金は概ね11年以上、老齢基礎年金をもらうことができれば得する制度ということになります。

※保険料総額7,910,400円÷老齢棄損年金年額780,100円=10.1年

 

国民年金の保険料免除制度【老齢基礎年金の受給額は減額】

国民年金の保険料は、40年間という長期間にわたって納付を続けるので、その期間の中には経済的に困窮して、保険料の納付が難しいときも出てくるかもしれません。

 

国民年金ではそんなときのために、失業や所得の金額が一定額以下など経済的に困窮してしまった方には、保険料の納付の一部または全部の免除を受けることができる制度が設けられています。ただし、保険料の納付の免除を受けるためには、本人が申請書を作成・提出して承認を受ける必要があります。

免除される額は、1/4、2/4(半額)、3/4、全額の4種類があり、所得や失業などにより状況が悪いほど免除割合は多くなります。

 

<国民年金の保険料免除制度とは>

経済的に困窮している場合に、保険料の納付の一部または全部の免除が受けられる制度(申請・承認制)

 

<国民年金の保険料免除制度の種類>

経済的な困窮度合により、1/4免除、2/4(半額)免除、3/4免除、全額免除の4種類の免除がある。

 

 

国民年金の加入期間である20歳~60歳までの40年間の間に、保険料の免除を受けた期間があると、先ほども記載した老齢基礎年金の受給額の計算式(満額ではない場合)により、保険料が減額して支給されます。

 

<老齢基礎年金の受給額の計算式(満額ではない場合)>

老齢基礎年金の受給額の計算式(満額ではない場合)

 

参考:保険料免除制度について

国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

 

老齢基礎年金の満額支給額と国民年金保険料の推移

前述したとおり、老齢基礎年金の満額での受給金額と国民年金の保険料は年度によって変わります。

日本では戦後の高度成長に伴い、物価も大きく変わってきたため、それに合わせて老齢基礎年金の受給金額や国民年金の保険料も上がってきました。それをグラフにすると以下のようになります。

 

<老齢基礎年金(満額)と国民年金保険料の推移>

老齢基礎年金(満額)と国民年金保険料の推移

 

こうしてみると、1990年代までは国民年金の保険料が上がると同時に老齢基礎年金の金額も上がってきました。

2000年以降は高齢化社会が深刻化し、年金財政の悪化も問題になりました。すると、国民年金の保険料が上がる割に、老齢基礎年金の金額は上がらなくなりました。この傾向は今後も変わらないと思いますので、ますます自分で老後の資産の確保や、定年後も働ける仕組み作りが大切になりそうですね。

 

老齢基礎年金の受給資格と支給開始年齢【原則65歳から】

老齢基礎年金の受給資格と支給開始年齢【原則65歳から】

国民年金の加入者が老齢基礎年金を受給するためには、国民年金の保険料の納付期間である20歳から60歳までの40年間のうち、下記の期間(厚生年金加入期間や国民年金保険料納付済期間など)の合計が10年以上あることが必要になります。

 

<厚生年金加入期間>

会社員や公務員が会社などを通じて厚生保険料を支払った期間

 

<国民年金保険料納付済期間>

自営業者などが国民年金保険料を支払った期間、会社員の妻などが配偶者の会社を通じて国民年金に加入した期間

 

<保険料免除期間>

収入が一定以下であったり、失業などの理由により保険料の納付を免除されていた期間

 

<産前産後休業、育児休業の保険料免除期間>

会社員で厚生年金に加入している人が育児休業などで保険料を免除された期間など

 

<合算対象期間>

外国に住んでいて日本に住所がなかった期間など

 

万が一、20歳から60歳まででこれらの期間の合計が10年に満たない場合には、原則的には年金が1円も支給されないことになってしまいます。そのような場合には、「国民年金の任意加入制度」を利用することで10年に足りない期間を補うことができます。

 

国民年金の加入期間10年の要件を満たすと、65歳から老齢基礎年金が支給されます。

 

<老齢基礎年金の支給開始年齢>

原則65歳から

 

老齢基礎年金の繰下げ繰上げ受給【計算式あり】

受給開始年齢は原則65歳ですが、受給開始年齢はご自身の選択により60歳~70歳の間で選択することが可能です。

具体的には、65歳よりも早く受給開始したい場合には繰上げ受給をすることで60歳から受給開始することができ、65歳より遅く受給開始したい場合には繰下げ受給をすることで受給開始を70歳まで遅らせることができます。

なお、65歳より早く受給を始める場合は1年早まるごとに年金受給額が6%減額、65歳より遅く受給を始める場合には1年遅くなるごとに年金受給額が8.4%増額されます。繰上げ受給と繰下げ受給による年金額の増減率をまとめると以下のようになります。

 

<繰り上げ受給額、繰下げ受給額のイメージ(満額支給の場合)>

受給開始年齢増減率受給額(年額)
60-30.0%546,070円
61-24.0%592,876円
62-18.0%639,682円
63-12.0%686,488円
64-6.0%733,294円
650.0%780,100円
668.4%845,628円
6716.8%911,157円
6825.2%976,685円
6933.6%1,042,214円
7042.0%1,107,742円

 

繰下げ受給と繰上げ受給は、支給開始年齢を遅らせるほど一年あたりの受給額が増えます。それでは、何歳まで生きて老齢基礎年金を貰えば有利になるのでしょうか。

 

<老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ受給>

老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ受給

 

上記のグラフは、老齢基礎年金を繰上げ受給、繰下げ受給した場合の受給総額のグラフです。このグラフを見ると、寿命と繰上げ繰下げ受給の有利な組み合わせが分かります。そうはいっても、何年生きるかはだれにもわからないので参考程度にしてみてください。

 

<寿命と繰上げ繰下げの有利選択>

75歳まで生きる場合 → 繰上げ受給が有利

76~80歳まで生きる場合 → 通常の受給が有利

81歳以上まで生きる場合 → 繰下げ受給が有利

 

在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給停止とは?【老齢基礎年金は支給停止しない】

在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給停止とは?【老齢基礎年金は支給停止しない】

60歳以降に仕事を続けて一定以上の収入を得ていると年金の減額や支給停止になるということを聞いたことはありませんか?この年金の減額や支給停止になる制度が「在職老齢年金」制度です。

 

在職老齢年金では、老齢厚生年金の受給額が減額又は支給停止になるので、老齢基礎年金は変わらずに支給されます

 

<在職老齢年金制度による年金の支給停止>

老齢基礎年金 → 働いていても通常通り支給される

老齢厚生年金 → 一定以上の収入があると減額や支給停止になる

 

在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給停止額は、年齢(60歳~64歳の区分と、65歳以上の区分)と収入によって支給停止額が変わります。具体的な支給停止額の計算式は以下の通りです。

 

【65歳以上】在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止額

在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止額は、老齢厚生年金の受給額と働いたことによる収入の額によって異なります。基本的に、収入が増えれば増えるほど支給停止額が増える(受給金額が減る)ことになります。

65歳以上の方が仕事で収入を得ている場合の在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止額は以下のようになっています。

 

<収入金額別の在職老齢年金による支給停止額(65歳以上)>

①基本月額②総報酬月額相当額①②の合計支給停止額(月額)
47万円以下0円(全額支給)
47万円超(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2

※基本月額とは、老齢厚生年金の年金額(年額)を12で割った金額です。

※総報酬月額相当額とは、大まかにいうと仕事から得た年収を12で割った金額です。具体的な計算式は【{毎月の賃金(標準報酬月額)×12+1年間の賞与(標準賞与額)}÷12】になります。

 

<計算例>

①基本月額

老齢厚生年金年額240万円÷12月=20万円

 

②総報酬月額相当額

(毎月の賃金30万円×12+1年間の賞与120万円)÷12=40万円

 

③ ①②の合計

20万円+40万円=60万円 → ①②の合計が47万円超 に該当

 

④支給停止額(月額)

(基本月額20万円+総報酬月額相当額60万円-47万円)×1/2=16.5万円

 

【60歳~64歳】在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止額

60歳~64歳の方が仕事で収入を得ている場合の在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止額は以下のようになっています。

 

<収入金額別の在職老齢年金による支給停止額(60歳~64歳)>

①基本月額②総報酬月額相当額①②の合計支給停止額(月額)
28万円以下0円(全額支給)
28万円以下47万円以下(基本月額-28万円)×1/2

+総報酬月額相当額×1/2

28万円以下47万円超(47万円+基本月額-28万円)×1/2

+(総報酬月額相当額-47万円)

28万円超47万円以下総報酬月額相当額×1/2
28万円超47万円超47万円×1/2

+(総報酬月額相当額-47万円)

※基本月額とは、老齢厚生年金の年金額(年額)を12で割った金額です。

※総報酬月額相当額とは、大まかにいうと仕事から得た年収を12で割った金額です。具体的な計算式は【毎月の賃金(標準報酬月額)×12+1年間の賞与(標準賞与額)】になります。

 

このように老齢厚生年金を受け取りながら仕事をしていると老齢厚生年金額が減額され、結果的に収入金額が減ってしまうこともあります。60歳以上になってから仕事を続ける場合には、老齢厚生年金の受給停止額も加味してどれだけの収入を仕事から稼ぐのかを考えて働くようにしましょう。

※在職老齢年金制度により減額されるのは老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は減額されません。

 

まとめ 老齢基礎年金のまとめ |満額は約78万円、繰下げ繰上げ受給で得なのは?

国民年金から支給される老齢基礎年金についてご理解いただけたでしょうか。老齢基礎年金は老後の生活の柱となる大切な収入源です。自分が将来いくら貰えるかを事前に把握し、長生きがリスクにならないように早めの備えをしておきましょう。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。他の記事でも有益情報を発信していますので、ぜひ覗いてみてください。

 

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