本記事では、東証一部上場の大手企業である三菱地所の売上高、業績推移、従業員数などの企業分析を行っています。就職転職活動や株式投資などの情報収集にご利用ください。
三菱地所の売上高・利益と業績【売上推移、売上比率と従業員数】
ではまず、三菱地所の直近3事業年度の売上高と業績から見ていきましょう。
<三菱地所の売上・業績>
決算期 | 17年3月期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
会計基準 | 日本基準 | 日本基準 | 日本基準 |
売上高(百万円) | 1,125,405 | 1,194,049 | 1,263,283 |
営業利益(百万円) | 192,495 | 213,047 | 229,178 |
営業利益率 | 17.1% | 17.8% | 18.1% |
経常利益(百万円) | 169,851 | 190,506 | 206,587 |
経常利益率 | 15.1% | 16.0% | 16.4% |
当期利益(百万円) | 102,681 | 120,443 | 134,608 |
利益率 | 9.1% | 10.1% | 10.7% |
総資産 | 5,484,115 | 5,803,689 | 5,774,193 |
自己資本 | 1,592,777 | 1,698,350 | 1,770,644 |
自己資本比率 | 29.0% | 29.3% | 30.7% |
三菱地所 有価証券報告書(2019年3月決算)を元に筆者作成
三菱地所の従業員数推移(単体・連結)と一人あたり売上高
三菱地所の従業員数と、一人当たり売上高は以下のようになっています。
<三菱地所の従業員数と一人当たり売上高>
グループ全体の従業員数 | 8,856 | 9,439 |
一人当たり売上高(百万円) | 134.8 | 133.8 |
一人当たり営業利益(百万円) | 24.1 | 24.3 |
(うち親会社の状況) | – | – |
従業員数(人) | 806 | 899 |
三菱地所 有価証券報告書(2019年3月決算)を元に筆者作成
従業員数は三菱地所グループ全体の従業員数と、グループの親会社である三菱地所の従業員数をそれぞれ記載しています。
一人当たり売上高は、三菱地所の売上高を従業員数で割った金額です。一人当たり売上高や一人当たり利益が大きい企業ほど、事業の効率が良く、好業績を上げやすい企業体質にあると言えます。
三菱地所の業績推移【売上推移と利益】
三菱地所の売上高と利益は以下のように推移しています。
<三菱地所の売上高と利益の推移>
単位:百万円
三菱地所の海外売上比率【海外市場は業績拡大のチャンス】
次は三菱地所の海外売上比率、地域別売上高についてです。
海外売上比率とは、会社の売上をどこの地域で、どれだけ上げたかを表した数値です。
日本国内は急速に高齢化が進むと同時に少子化が進んでいるため、今後の人口拡大はなかなか難しい状況です。人口が増えない日本の市場で戦う会社はやはり今後の業績も厳しいと言わざるを得ません。
会社の売上比率が海外が多く、成長している市場でビジネスを成功させている企業はやはり今後の成長余地も大きいと言えるでしょう。
<三菱地所の海外売上比率>
三菱地所は国内での売上比率が90%を超えているため、海外売上比率情報は公開していません。
三菱地所の事業別の売上比率、売上構成と従業員数
企業が行っている様々な事業を内容ごとに区分したものをセグメントと言います。大企業では一つの会社、一つのグループで多種多様なビジネスを行っており、ビジネスごとに切り分けて業績を見ることで、花形事業と不採算事業がよくわかります。
三菱地所では以下の7つのセグメントで事業を展開しています。
1.ビル事業
2.生活産業不動産事業
3.住宅事業、海外事業
4.海外事業
5.投資マネジメント事業
6.ホテル・空港事業
7.設計管理事業
8.不動産サービス事業
セグメントごとの売上高と営業利益は以下のようになっています。
<三菱地所のセグメント別売上高と営業利益>
それではここからは、各セグメントごとの事業内容、業績について見ていきましょう。
ビル事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
オフィスビル等の開発・賃貸・管理運営、駐車場事業、地域冷暖房事業
<主要会社>
三菱地所プロパティマネジメント㈱、㈱北菱シティサービス、丸の内熱供給㈱、㈱サンシャインシティ、有電ビル管理㈱、東京ガレーヂ㈱、丸の内ダイレクトアクセス㈱、池袋地域冷暖房㈱、㈱東京交通会館、豊洲三丁目開発特定目的会社、名古屋デベロップメント特定目的会社、第6メック都市開発特定目的会社 他
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 506,161 | 529,695 |
セグメント利益 | 147,243 | 147,691 |
当期利益率 | 29.1% | 27.9% |
従業員数(人) | 1,658 | 1,699 |
一人当たり売上高 | 305.3 | 311.8 |
一人当たりセグ利益 | 88.8 | 86.9 |
単位:百万円
生活産業不動産事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
商業施設・物流施設等を中心とした、オフィス・住宅・ホテルを除くあらゆるアセットタイプの開発・賃貸・管理運営
<主要会社>
三菱地所リテールマネジメント㈱、三菱地所・サイモン㈱、㈱東京流通センター、㈱横浜スカイビル、アクアシティインベストメント特定目的会社 他
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 97,920 | 106,182 |
セグメント利益 | 28,079 | 32,560 |
当期利益率 | 28.7% | 30.7% |
従業員数(人) | 403 | 422 |
一人当たり売上高 | 243.0 | 251.6 |
一人当たりセグ利益 | 69.7 | 77.2 |
単位:百万円
住宅事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
マンション・戸建て住宅等の建設・販売・賃貸・管理・リフォーム・不動産仲介、不動産受託販売、ニュータウンの開発、余暇施設の運営、注文住宅の設計・請負
<主要会社>
㈱泉パークタウンサービス、東日本開発㈱、㈱メックアーバンリゾート東北、三菱地所レジデンス㈱、㈱メックecoライフ、三菱地所ハウスネット㈱、三菱地所ホーム㈱、㈱三菱地所住宅加工センター、㈱菱栄ライフサービス、三菱地所コミュニティホールディングス㈱、三菱地所コミュニティ㈱、アーバンライフ㈱、アーバンライフ住宅販売㈱、㈱スタジオ・コア
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 410,598 | 420,405 |
セグメント利益 | 23,860 | 30,428 |
当期利益率 | 5.8% | 7.2% |
従業員数(人) | 3,268 | 3,371 |
一人当たり売上高 | 125.6 | 124.7 |
一人当たりセグ利益 | 7.3 | 9.0 |
単位:百万円
海外事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
海外における不動産開発・賃貸・管理運営
<主要会社>
Rockefeller Group.,Inc.、Mitsubishi Estate Europe Limited、Mitsubishi Estate London Limited、Mitsubishi Estate Asia Pte.Ltd. 他
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 86,925 | 81,844 |
セグメント利益 | 24,147 | 26,917 |
当期利益率 | 27.8% | 32.9% |
従業員数(人) | 330 | 334 |
一人当たり売上高 | 263.4 | 245.0 |
一人当たりセグ利益 | 73.2 | 80.6 |
単位:百万円
投資マネジメント事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
不動産投資マネジメント
<主要会社>
三菱地所投資顧問㈱、ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント㈱ 他
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 22,665 | 49,588 |
セグメント利益 | 4,596 | 9,231 |
当期利益率 | 20.3% | 18.6% |
従業員数(人) | 277 | 285 |
一人当たり売上高 | 81.8 | 174.0 |
一人当たりセグ利益 | 16.6 | 32.4 |
単位:百万円
ホテル・空港事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
ホテル施設及び空港施設の開発・運営
<主要会社>
㈱ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ、㈱横浜ロイヤルパークホテル、㈱東北ロイヤルパークホテル、㈱丸の内ホテル、㈱ロイヤルパークホテル 他
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 41,038 | 44,171 |
セグメント利益 | 3,136 | 2,371 |
当期利益率 | 7.6% | 5.4% |
従業員数(人) | 1,361 | 1,512 |
一人当たり売上高 | 30.2 | 29.2 |
一人当たりセグ利益 | 2.3 | 1.6 |
単位:百万円
設計管理事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
建築・土木・インテリアの設計管理、内装工事等の請負
<主要会社>
㈱三菱地所設計、㈱メック・デザイン・インターナショナル 他
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 21,613 | 24,671 |
セグメント利益 | 1,724 | 2,021 |
当期利益率 | 8.0% | 8.2% |
従業員数(人) | 606 | 632 |
一人当たり売上高 | 35.7 | 39.0 |
一人当たりセグ利益 | 2.8 | 3.2 |
単位:百万円
不動産サービス事業の事業内容、売上業績、従業員数
<主要製品・サービス>
不動産仲介・管理・賃貸・不動産関係総合コンサルティング
<主要会社>
三菱地所リアルエステートサービス㈱、㈱駐車場総合研究所
<業績情報>
決算期 | 18年3月期 | 19年3月期 |
売上高 | 25,584 | 33,586 |
セグメント利益 | 1,518 | 2,603 |
当期利益率 | 5.9% | 7.8% |
従業員数(人) | 486 | 691 |
一人当たり売上高 | 52.6 | 48.6 |
一人当たりセグ利益 | 3.1 | 3.8 |
単位:百万円
三菱地所の競合会社【競合他社の売上高と利益】
三菱地所をはじめとする不動産ディベロッパーには以下のような企業があります。それぞれの会社の売上高、利益、利益率を比較してみましょう。
<不動産ディベロッパーの売上高と利益>
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 利益率 | |
三井不動産 | 19年3月期 | 1,861,195 | 262,147 | 14.1% |
三菱地所 | 19年3月期 | 1,263,283 | 229,178 | 18.1% |
住友不動産 | 19年3月期 | 1,013,229 | 220,419 | 21.8% |
東急不動産HD | 19年3月期 | 901,884 | 80,205 | 8.9% |
野村不動産 | 19年3月期 | 668,510 | 79,162 | 11.8% |
東京建物 | 19年12月期 | 323,036 | 52,410 | 16.2% |
森ビル | 19年3月期 | 246,127 | 61,119 | 24.8% |
三菱地所の企業概要【売上、従業員数ほか】
三菱地所は1937年に設立された三菱グループ中核企業の一つで、丸の内ビルディング、横浜ランドマークタワー、丸の内オアゾなど多数の有名建築物を所有する企業です。
<三菱地所の会社概要>
会社名:三菱地所株式会社
英語表記:Mitsubishi Estate Company,Limited
設立:1937年
本社所在地:東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビル
業種:不動産業
決算月:3月
グループ売上高: 1、263,283百万円(2019年3月期)
グループ従業員数: 9,439人(2019年3月期)
株式上場:東証第一部(1953年上場)
会社HP:
三菱地所の格付け【好業績企業は財務内容も良くなりやすい】
格付けとは格付け会社と呼ばれる会社がその会社の信用力を評価してランク付けをしたもののことを言います。信用力とはその会社が債券を発行してお金を借りた場合に、そのお金をきちんと返せるかどうかのことを言います。つまり、格付けが高い会社は財務内容が良好で経営状態が安定していると見ることができます。
国内の代表的な格付け機関である格付投資情報センター(R&I)の発行体格付けで三菱地所の格付けを見てみましょう。
<企業ごとの発行体格付け>
AAA | |
AA | 三菱地所、三菱商事、富士フイルム、三井物産、ホンダ、信越化学工業、キヤノン、三菱電機、KDDI、東日本旅客鉄道、日立製作所、旭化成、味の素、アステラス製薬 |
A | ソニー、富士通、武田薬品工業、ソフトバンク、日産自動車、パナソニック、オリックス、日本航空、イオン、野村證券、いすゞ自動車 |
BBB | アコム、商船三井、古川電気工業、沖電気工業 |
BB | シャープ、アイフル、日本板硝子 |
B | |
CCC | |
CC | |
D |
※2019年12月時点
<参考:格付け定義>
AAA | 信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。 |
AA | 信用力は極めて高く、優れた要素がある。 |
A | 信用力は高く、部分的に優れた要素がある。 |
BBB | 信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。 |
BB | 信用力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。 |
B | 信用力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。 |
CCC | 信用力に重大な問題があり、金融債務が不履行に陥る懸念が強い。 |
CC | 発行体のすべての金融債務が不履行に陥る懸念が強い。 |
D | 発行体のすべての金融債務が不履行に陥っているとR&Iが判断する格付。 |
三菱地所の歴史と沿革、ニュース
1937年 会社設立
1953年 東証、大証に上場
1972年 三菱地所ニューヨーク社を設立
1990年 米国ロックフェラーグループ社に資本参加
1993年 横浜ランドマークタワー竣工
2002年 丸の内ビル竣工
2004年 丸の内オアゾグランドオープン
まとめ 三菱地所の売上高・利益と業績【売上推移、売上比率と従業員数】
ここまで三菱地所の売上業績、従業員数についてまとめてきました。企業を知る上で最も重要な売上、従業員数を時系列でみていくことで、企業の今後の業績見通しの制度も上がります。本記事がみなさんのお役に立ちましたでしょうか。