今回は「外貨預金はおすすめしない【金利メリットより手数料リスクが大】」ということで、円普通預金にはない高金利をセールストークに銀行などが積極的に販売している外貨預金について、おすすめしない金融商品である点についてまとめました。
日本人はバブル時代に銀行預金で非常に高い利回りが出せたことから預金が大好きなため、同様に外貨預金も好きな人が多いようです。しかし、これは知識のない個人を狙ったゴミ商品なので、外貨預金への投資は絶対におすすめしないです。
これから外貨預金に投資をしてみようと検討していた方は、こちらの記事を読んでいただき「それでもやりたいんだ!」という方だけ、外貨預金というゴミ商品に資金を投入していただければと思います。
外貨預金はおすすめしない【高金利メリットより手数料リスクが大きい】
外貨預金とは、皆さんがお持ちの円通貨を外貨に両替して、外貨として銀行に預けて金利をもらう金融商品のことです。
外貨預金で預けることができる通貨には、米ドル、ユーロ、オーストラリアドルなど様々な通貨があり、円定期預金に比べて高い金利がもらえることをセールストークに売り出されています。
<外貨預金の取引の流れ>
- 日本円を外貨(米ドル、ユーロ、オーストラリアドルなど)に両替する
- 外貨を銀行に一定期間預けると金利がもらえる
- 外貨を日本円に戻す
外貨預金とは?儲かる仕組み、損する仕組み
外貨預金の基本的な仕組みを見てみましょう。以下の図では、手持ちの100万円を米ドル(USD)の外貨預金で運用する場合のイメージ図です。
<外貨預金のイメージ図(円安になった場合)>
- 手持ちの100万円を米ドルに両替します。この時の為替レートは1ドル100円だったので、10,000ドルが手に入り、外貨預金に預けました
- 10,000ドルをX年間、外貨預金に入れて置いたら金利が付いて、10,500ドルになりました
- 10,500ドルを日本円に両替します。この時の為替レートは1ドル120円だったので、126万円が手に入り、26万円の利益が出ました。
外貨預金に預け入れたことによって金利と為替差益が手に入り、大幅な利益が出ましたね。一方で外貨預金は損をするケース(元本割れ)もあります。
<外貨預金のイメージ図(円高になった場合)>
- 手持ちの100万円を米ドルに両替します。この時の為替レートは1ドル100円だったので、10,000ドルが手に入り、外貨預金に預けました
- 10,000ドルをX年間、外貨預金に入れて置いたら金利が付いて、10,500ドルになりました
- 10,500ドルを日本円に両替します。この時の為替レートは1ドル80円だったので、84万円しか手に入らず、16万円の損失が出ました。
こちらは為替レートが円高に推移したケースですが、外貨預金でもらった金利以上の為替差損が出たことによって、トータルで損失が出てしまいました。外貨預金を検討する場合は、この為替レートの動きに注意を払う必要があります。
外貨預金のメリット、デメリット【高金利以上に手数料が高い】
外貨預金は投資商品としてどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。金融機関で投資相談を受けると、メリットばかりが強調されてしまうので、中立的な立場で外貨預金のメリットデメリットについてまとめてみたいと思います。
<外貨預金のメリットデメリット>
- ◎保有資産の通貨分散ができる
- △通貨によっては非常に高金利
- △為替リスクがある
- ×元本保証ではない
- ×手数料が高い
- ×預金保険制度(ペイオフ)の対象外
- ×ゼロサムゲーム(マイナスサムゲーム)の投資商品
◎保有資産の通貨分散ができる
外貨預金をすることで保有資産の通貨分散をすることができるのはメリットです。
日本人の方の多くは保有資産のほとんどを日本円で保有していると思います。日本企業の株、不動産などを保有している方もいるかもしれませんが、そういったものも通貨としては円建ての資産ですよね。
日本で暮らしているので保有している資産がすべて円でも困らないように思うかもしれませんが、日本に何らかの良くないことが起こり日本円の価値が暴落するということもあるかもしれません。特に日本は借金が非常に大きい国だということでも有名です。
日本円の価値が暴落するというのは、具体的に言えば為替レートが円安になるということです。
<為替レートが円安になるとは?>
(例)100円/1ドル → 200円/1ドル
※100円で1ドル買えたのが、200円出さないと1ドルが買えなくなってしまった。
日本円の価値が下落すると海外から輸入している商品の価格が急騰します。100g300円で買えた米国産の牛肉が、100g600円出さないと買えなくなったりするわけですね。これは私たちの生活にとって非常に困ります。
もし、自分の資産の半分をドルで保有していたらどうでしょう?円の価値は下がる代わりに、ドルの価値は上がるので、保有する資産の価値を守ることができますね。
このように、日本で暮らしている人にとっても保有資産の通貨を分散させておくことは、リスク管理として大切なことなのです。
△通貨によっては非常に高金利
外貨預金の最大のメリットは、円定期預金より高い金利かもしれませんね。参考までに、三菱UFJ銀行の外貨預金の金利を掲載すると以下のようになっています。
今は海外でも低金利が進んでいて以前ほど投資妙味がなくなっていますが、それでも円定期預金金利0.001%よりは金利が高いケースが多いですね。
<外貨預金の金利例(三菱UFJ銀行)>
米ドル(USD) | 0.010% |
イギリスポンド(GBP) | 0.010% |
スイスフラン(CHF) | 0.001% |
ユーロ(EUR) | 0.001% |
オーストラリアドル(AUD) | 0.050% |
ニュージーランドドル(NZD) | 0.050% |
この外貨預金の金利の高さは、金融機関が外貨預金の販売をする際にセールストークでよく使われることなのですが、本当に金利の高い通貨への投資はそれほどメリットがあるのでしょうか。
一見、メリットが大きく見える高金利の外貨預金ですが、金利が高い通貨は、通貨自体の価値が安定しておらず大きく為替レートが下落するリスクがあったり、インフレにより通貨価値の下落が起こるリスクがあります。
つまり、高金利通貨への投資は、高い金利と引き換えに高いリスクを負っているだけなのです。安定した大企業勤務の人なら金利1%で銀行のローンが組めるところ、無職の人は金利10%を払って消費者金融でお金を借りる必町があるのと同じようなものです。
このあたりの高金利をウリにした外貨預金のからくりについては、後程詳しく解説します。
△為替リスクがある
外貨預金は、円を外貨に交換して運用するため為替レートの影響を受けます。運用成績に為替レートの影響を受けること(為替リスク)は悪いことばかりではなく、うまくいけば大きな利益が得られる反面、うまくいかなければ大きな損失を被ることがあります。
外貨預金のケースでいうと、円を外貨に両替するときに為替レートが円高で、外貨を円に戻すときに為替レートが円安、になるのが利益が出るパターンです。
一方で、円を外貨に両替するときに為替レートが円安で、外貨を円に戻すときに為替レートが円高、になると損失がでることになります。
<為替で利益が出るケース(円安に進む)>
①投資開始 100円/1ドル 1,000,000円 → 10,000ドル
②投資終了 120円/1ドル 1,200,000円 ← 10,000ドル
<為替で利益が出るケース(円高に進む)>
①投資開始 100円/1ドル 1,000,000円 → 10,000ドル
②投資終了 80円/1ドル 800,000円 ← 10,000ドル
このように為替レートの変動によって投資成果がぶれるのはいい面もありますが、悪い面もあるわけです。
×元本保証ではない
外貨預金は先ほど解説したように為替レートの変動によって投資成果が良くなったり悪くなったりするので、元本割れすることもある元本保証のない金融商品ということになります。”預金”という名称から安全性が高い商品のように思えるかもしれませんが、必ずしもそうではありませんのでお気を付けください。
×手数料が高い
外貨預金の最大のデメリットはこの手数料です。「えっ、預金なのに手数料が取られるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、外貨預金は手数料がたくさんとれるので、金融機関はせっせと知識のない個人投資家に販売しているのです。
外貨預金の手数料は表向きにはわからないようにちゃっかりと徴集されていて、そのからくりは円と外貨を交換するときの為替レートにあります。外貨預金の時に使われる為替レートは、実は銀行手数料が加味された為替レートが使われていて、円を外貨に両替するとき、外貨を円に両替するときに手数料が取られているのです。
外貨預金には実は以下の3種類の為替レートがそれぞれ関係しています。
<外貨預金をするときの適用為替レート>
レートの例 | 内容 | |
TTS | 100.25 | Telegraphic Transfer Selling rate の略で、銀行が外貨を売る時の適用レート(個人が外貨を買うときの適用レート)。「TTM+銀行手数料」で算出 |
TTM | 100.00 | Telegraphic Transfer Middle rate の略で、TTSとTTBの基準となるレート |
TTB | 99.75 | Telegraphic Transfer Buying rate の略で、銀行が外貨を買う時の適用レート(個人が外貨を売るときの適用レート)「TTM-銀行手数料」で算出 |
TTMはニュース名でよくやっている私たちが良くイメージする基準となる為替レートです。これ以外に銀行では、TTMに銀行の手数料を加味したTTS、TTBという為替レートを持っています。
TTSは銀行が外貨を売る(SELL)時に適用される為替レートで、TTBは銀行が外貨を買う(BUY)するときに適用される為替レートです。例えば、米ドルの為替レートが100円/ドルのときには、TTSは100.25円/ドル、TTBは99.75円/ドルなどになります。このTTMとの差額0.25円が銀行の手数料になります。
ではここで為替レート(TTM)が動かなかったとして、外貨預金のシミュレーションをしてみましょう。
<外貨預金シミュレーション(為替レートが動かなかった場合)>
①1,000,000円を外貨に両替。TTSは100.25円なので、1,000,000円÷100.25=9,975ドル
②9,975ドルを円に両替。TTBは99.75円なので、9975ドル×99.75=995,006円
③995,006円-1,000,000円=▲4,994円
④▲4,994円÷1,000,000円=▲0.4994%
貨預金の利用時に適用される為替レートが銀行の手数料が加味されたTTS、TTBになるため、為替レート(TTM)が動いていないにもかかわらず、外貨預金での運用は損になってしまいました。
米ドルの外貨預金金利は0.010%程度にも関わらず、為替レートとして銀行に取られた手数料は約0.5%です。金利の50倍もの手数料が銀行に取られていると考えると恐ろしいですね。この手数料の高さが私たちにとっての外貨預金のデメリットであり、反対に銀行が私たちに外貨預金を勧めてくる理由なのです。
外貨預金より圧倒的に安いFXの手数料
外貨預金によく似た投資にFXがありますが、FXの場合は適用為替レートとして取られる為替手数料が格安です。
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<外貨預金とFXの手数料比較>
外貨預金(三菱UFJ) | FX(SBI FX) | |
TTS | 100.250円/ドル | 100.001円/ドル |
TTM | 100.000円/ドル | 100.000円/ドル |
TTB | 99.750円/ドル | 99.999円/ドル |
三菱UFJ銀行の外貨預金を例にとってみると、片道25銭、往復50銭の為替手数料が取られますが、SBI FXで同様に外貨両替を行うと片道0.1銭、往復0.2銭程度です。これを見てしまうと外貨預金に投資をするのがアホらしくなりませんか。
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×預金保険制度(ペイオフ)の対象外
銀行の円預金や定期預金は預金保険制度(ペイオフ)の対象になっていて、1個人が1金融機関に預ける元本1000万円とその利息は、金融機関が破綻した場合にも保証されます。
外貨預金はこのペイオフ制度の対象にはなっていませんので、資産保全を考える上では注意が必要です。
×ゼロサムゲーム(マイナスサムゲーム)の投資商品
外貨預金はその仕組みから考えてみるとゼロサムゲームの金融商品です。銀行に取られる手数料を加味するのであればマイナスサムゲームですね。
ゼロサムゲームとは、ゲームの参加者の勝ち分と負け分をすべて合わせるとゼロになるゲームをいいます。マイナスサムゲームであればマイナスですね。
例えば、競馬などはゲームの参加者の勝ち分と負け分をトータルすると基本的にはプラスマイナス0になるゲームです。厳密には、競馬の還元率は75%程度で、25%分が競馬の運営元に取られることになるので、マイナスサムゲームですが。トータルしてみれば誰も勝てないゲームなので、競馬などは「ギャンブル」と言われるわけですね。
外貨預金もこれと同じことが言えます。外貨預金は為替レートが有利な時に外貨を売買してはじめて利益が得られる金融商品です。
あなたが外貨を買うときにはどこかに外貨を売る人がいて、あなたが外貨を売るときにはどこかに外貨を買う人がいます。こうして為替取引を行っている人全員を集めて、勝ち分と負け分をトータルすると当然プラスマイナス0のゼロサムゲームになります。更に外貨預金はここから手数料を取られるのでマイナスサムゲームですね。
つまり、外貨預金は基本的な仕組みからいって預けておくだけでお金が増やせる金融商品ではありません。このことが外貨預金をおすすめしない理由でもあるのです。
高金利通貨への投資は得なのか【おすすめしない】
金融機関が外貨預金をおすすめしてくるときのセールストークは、必ずと言っていいほど「日本円より○○の方が金利が高いのでお得ですよ」というものですね。金利が高い通貨への投資は本当にお得なんでしょうか。
高金利通貨と言えば、南アフリカランド、トルコリラなどがあります。金利というのはリスクと表裏一体の関係にあるので、リスクの高いものにお金を投入するほど金利は高くなります。つまり、南アランドやトルコリラなどの高金利通貨への投資は、お得なわけではなく高いリスクを引き受けた対価として高い金利をもらっているだけです。
以下の例を見てみましょう。
<金利はリスクに比例>
①大企業勤めの年収1000万円の人に、住宅購入費として金利1%で500万円を貸す
②フリーターに生活費として金利10%で50万円を貸す
この場合、②の方が金利が高いからと言って②の人にお金を貸すでしょうか?②は返済されないリスク分だけ金利が高いだけであって、①より②がメリットが大きいわけではないですね。
外貨預金もこれと同様で、通貨ごとの金利部分だけを比較して金融機関のセールスマンは「高金利通貨がお得ですね」と営業トークをしてくるわけですね。高金利通貨は、お得でもなんでもなくて、リスクが高いところにお金を預けている分が金利に反映しているだけなのです。
高金利通貨と他の通貨は何が違うか
高金利通貨が他の通貨と何が違うのかというと理由はたくさんありますが、大きくは以下の2つを知っておけば問題ありません。
<通貨ごとの金利の違いの要因>
・国の信用力
・インフレ率
国の信用力
通貨とはそれを発行している国の信用力に基づいてその価値が保たれています。例えば、日本円の1万円札は、素材的にはただの紙ですが、日本円を発行している日銀が「これは1万円の価値ですよ」と言っているので、1万円札が1万円の価値としてモノやサービスと交換できるわけです。
これが日銀が借金でズブズブになって、お金を返せないような状況になれば日本円の価値は急落することになります。アメリカ製の1ドルの商品が今は100円で買えたとしても、円の価値が急落して1ドルの商品を買うのに1000円・2000円必要な事態になるかもしれません。
こういった通貨の価値が吹き飛ぶリスクを金利は反映しています。南アランドやトルコリラは、ドルやユーロや日本円に比べて信用力が乏しいですから、そういう危険な通貨を保有しているリスクと引き換えに高い金利が付与されるのです。
インフレ率
インフレとはモノの値段が上がり、通貨の価値が下落することを言います。インフレ率は物価上昇率との言われて、政府の経済政策の目標などにもされますね。
高金利の通貨は基本的にインフレ率が高い通貨である場合がほとんどです。インフレ率が高い環境下では、通貨の価値がどんどん下落していくので、金利を高くしないとお金の貸し借りができないのです。
更に知っておかなければいけないことは、「インフレ率が高い通貨は、為替レートが弱くなりやすい」ということです。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
以下の例を見てみましょう。
<インフレ率が高いと為替レートが弱くなる>
①おにぎり1個=100円=1ドル → 100円/ドル
②おにぎり1個=200円=1ドル → 200円/ドル
①時点では、日本でおにぎり1個が100円、アメリカでは1ドルだったとします。これが日本でインフレが進行して、日本でおにぎり1個が200円に値上がりし、アメリカでは変わらず1ドルだったとします。
この場合、ドルと円で価値のつり合いが取れる為替レートは、100円/ドル→200円/ドルに変動します。日本円でインフレが起きた結果、日本円が安くなったということですね。
これと同じことが先進国に比べてインフレ率が高い南アランドやトルコリラでは起こります。外貨預金で高い金利を得ても、それと同じくらい通貨の価値が下がり、為替レートが弱くなる傾向があるので、思ったようなメリットは得られない可能性が高いですよ。
FXとの違い【FXは外貨預金の上位互換】
外貨預金とよく比較される金融商品にFXがありますが、外貨預金とFXの違いはどこにあるのでしょうか。なんとなくFXはハイリスクハイリターンで危険、外貨預金は安心なイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
実態としては外貨預金はFXのほぼ完全下位互換商品なので、外貨預金をやるぐらいならFXがおすすめです。以下で外貨預金とFXの違いについて解説します。
<外貨預金とFXの違い>
外貨預金 | FX | |
利益の取り方 | 安値で買って高値で売る | 安値で買って高値で売る 高値で売って、安値で買い戻す |
為替コスト(USドルの場合) | 片道25銭程度 | 片道0.1銭程度 |
利息の精算 | 原則、満期時 | 原則、毎日(スワップポイント) |
レバレッジ | 1倍(なし) | 1~20倍 |
注文方法 | その時点のレート | 複数の注文方法 |
運用期間 | 1か月~数年程度 | 数秒~数年の長期も可能 |
利益の稼ぎ方【外貨預金は円安のみ。FXは円安・円高の両方で稼げる】
外貨預金とFXの仕組みの一番大きな違いは、利益の稼ぎ方の違いにあります。
外貨預金は円高の時に外貨を買って、円安になった時に外貨を売るという方法でしか為替差益を取ることはできません。
一方で、FXの場合は外貨預金同様に円安進行時に利益を取る以外にも、まず円安の時に外貨を売って円高のときに外貨を買い戻すという取引が可能です。外貨取引を売りから入ることによって、円高進行時であっても利益を取ることが可能です。
為替レートは上がったり、下がったりを繰り返すものなので、円安の時にしか利益が取れない外貨預金より、円安・円高の両方で利益を取るチャンスがあるFXの方が有利なことは言うまでもありません。
為替コストはFXが圧倒的に安い
日本円と外貨を両替するときの為替コストは、外貨預金よりFXの方が圧倒的に安くなています。以下はUSDの例ですが、外貨預金よりFXのコストの方が数十分の一の小ささです。
為替コストの違いは、為替取引をやればやるほどかかってきますので、為替コストの小ささは、外貨投資で利益を出すうえでは極めて重要です。
<外貨預金とFXの為替コストの違い>
外貨預金 | FX | |
為替コスト(USドルの場合) | 片道25銭程度 | 片道0.1銭程度 |
利息の精算時期の違い
外貨預金の利息は原則満期時に一括精算となる一方で、FXではスワップポイントと呼ばれる利息に相当するものが毎日付与されます。これは一概にどちらが優れているというものではありませんが、もちろんもらえる金額が大きい方がメリットが大きいです。
FXはレバレッジ取引が可能
外貨預金は当たり前ですが自分の保有する資金の分だけ外貨を買って銀行に預けます。100万円を保有していて為替レートが100円/ドルであれば、1万ドルの外貨預金になります。
一方で、FXは自己資金にレバレッジを効かせて取引を行うことが可能です。どういうことかというと、100万円を保有していて為替レートが100円/ドルの時に、本来であれば1万ドルの取引しかできないところ2万ドル、5万ドル、10万ドルといった金額の取引を行うことができます。
本来、1万円で1万ドルの取引ができるところを2万ドルの取引ができればレバレッジ2倍、5万ドルの取引ができればレバレッジ5倍というわけです。なお、レバレッジというのは、てこの原理のことで1の力で3や5といった大きな力を引き出せることを意味しています。
FXはこのレバレッジの力によって資金効率が良くなり、ハイリスクハイリターンの投資になるわけです。
FXでは一般的にレバレッジを1~20倍の間で調整することができます。レバレッジ1倍でFXを取引すれば、為替リスクは外貨預金と同じになります。つまり、FXは為替手数料を超低コストにした外貨預金としても使うことができます。
FXは多様な注文方法が可能
外貨預金の場合は、外貨預金を始めるたいときに発注をして、満期の時期も1か月や1年などといった大まかな期限でしか指定することはできません。
一方で、FXの場合は指値取引などが可能で、「為替レートが〇円になったらXX通貨を買う」といった細かい注文を受け付けています。日中相場を見れないサラリーマンなどでも投資をすることが可能ですね。
【結論】外貨預金はFXの下位互換商品なのでおすすめしないです
ここまで外貨預金とFXの違いを見てきましたが、外貨預金がFXに勝っている点ははっきり言ってほとんどありません。外貨預金は、金融商品のコストが非常に高くても売りさばくことができた頃の時代遅れの金融商品です。
外貨預金とFXは為替レートの変動からとれる利益は同じですが、掛かるコストが段違いにFXの方が安くなっています。
FXはレバレッジを掛けてよりハイリスクハイリターンの運用ができてしまうため、人によっては嫌煙しがちですが、レバレッジ1倍のFXは、ほぼ超低コストの外貨預金としてみることができます。外貨預金をやるくらいならFXをやるべきです。
外貨預金に掛かる税金と確定申告
外貨預金に税金が掛かるのは、「外貨預金の利息に掛かる税金」と「外貨預金の為替差益に掛かる税金」の2種類があります。
個人の外貨預金の利息に掛かる税金【確定申告不要】
外貨預金によって受け取る利息に対して、20%(国税15%、地方税5%)が源泉徴収(申告分離課税)されます。ただし、2013年1月1日から2037年12月31日までは、復興特別所得税が課されるため20.315%(国税15.315%、地方税5%)になります。
個人の外貨預金の為替差益に掛かる税金【確定申告必要なケースあり】
外貨預金によって得られた為替差益は、雑所得として総合課税の対象になるので原則的には確定申告が必要になります。ただし、年収2000万円以下の給与所得者で、給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円未満であれば確定申告は不要です。
法人の外貨預金の利息に掛かる税金
法人の場合は外貨預金によって受け取る利息に対して、15%(国税のみ)が源泉徴収されます。ただし、2013年1月1日から2037年12月31日までは、復興特別所得税が課されるため15.315%(国税のみ)になります。なお、源泉徴収された所得税は、法人税の申告上、税額控除をすることが可能です。
法人の外貨預金の為替差益に掛かる税金
法人の場合の外貨預金に係る為替差益は、法人税法上の益金として法人税の課税標準に算入されます。
外貨預金の金利、手数料を比較【おすすめしない理由】
外貨預金は全くおすすめしない金融商品ですが、金利や手数料水準を主要銀行で比較してみました。メガバンクはもはや金利等ではネット銀行に全く歯が立たず、ネット銀行が比較的高金利の外貨預金を提供しています。
どこの銀行で外貨預金投資をしても為替リスクは同じなので少しでも金利水準が高い金融機関で取引するのがおすすめです。
<外貨預金の条件を比較>
金利(米ドル・1年) | 最低預入単位 | |
住信SBIネット銀行 | 0.25% | 10,000ドル以上 |
イオン銀行 | 0.15% | 100ドル以上 |
ソニー銀行 | 0.15% | 10万円以上 or 600ドル以上 |
楽天銀行 | 0.12% | 10ドル以上 |
三菱UFJ銀行 | 0.01% | 10万円以上 |
外貨預金についてよくある疑問【やっぱりおすすめしない】
QA.最新の為替レートのチェック方法は?
各通貨の最新の為替レートはヤフーファイナンスで確認することが可能です。外貨預金の取引で使用されるTTSやTTBは銀行によって異なりますので、取引を検討している銀行のホームページ等で確認してください。
QA.外貨預金に最低限必要な金額は?
外貨預金の最低投資金額は10ドル程度~10万円程度など銀行によってまちまちです。外貨預金での運用を検討している金融機関のホームページで確認してみてください。
まとめ:外貨預金はおすすめしない【高金利メリットより手数料リスクが大きい】
外貨預金は資産の通貨分散によって、保有資産のリスクを分散させることはできますが、手数料が高くおすすめしない金融商品です。未だに銀行などの金融機関が、外貨預金のセールスを行っていること自体、日本の金融サービスが江戸時代並みの遅れた状態だということがわかりますね。
記事中でも何度か述べましたが、外貨預金をするくらいならFXのレバレッジ1倍で投資をするのがおすすめです。投資の運用成績はやってみないと結果はわかりませんが、為替コスト等の手数料は確実に徴収されるものなのでコストは小さいに越したことはありません。
正しい知識を持って投資に臨むことで、少しでも多くの投資成果を上げていただければ幸いです。
初心者が失敗しないための投資講座メニュー
大手金融機関の勤務経験、ファイナンシャルプランナー資格を活かした投資のノウハウをまとめています。金融機関のセールスマンに騙されないためには、専門家任せではなく、自分で知識をつけるのが大切です。
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