こんにちは、モチタケです。私ははじめての転職が第二新卒、未経験職種という底辺でしたが、その後のスキルと経験の蓄積により、誰もが知る超大手企業の内定を何度も獲得してきました。
本記事では転職活動の終盤で必ず確認したい書類である労働条件通知書について、記載内容や交付義務の有無、もらえない場合の対処法などを解説します。
厳しい書類選考や面接をクリアして内定を獲得すると気が緩んでしまいがちですが、転職活動の成否が決まるのは内定ではなく、入社後に満足のいく働き方をすることです。内定を獲得したら労働条件通知書で、入社後の条件をよく確認し、自分の納得する条件で働くことができるようにしましょう。
労働条件通知書とは?中途はいつもらえる?【記入例、記載事項、交付義務】
労働条件通知書とは、就職転職等により会社で働き始める人が出た際に、会社(雇用主)が働く人(使用者)に対し、労働に関する諸条件を通知するための書類です。
労働条件通知書の交付は法律(労働基準法)によって義務付けられていますので、転職活動を経て内定を獲得したら、必ず労働条件通知書を確認してください。会社によっては、労働条件通知書に記載しなければならない内容を雇用契約書に盛り込んでいるケースもありますので、その場合については雇用契約書で労働条件を確認しましょう。
労働条件通知書の記載事項【転職の中途採用は要注意】
労働条件通知書には法律で定められた一定の内容を記載する義務があります。記載が必須の事項については、法律で記載が義務付けられるくらいですから、労働者が働いていく上でとても重要な内容ばかりです。労働条件通知書を受け取ったら、明示が義務付けられている事項について記載があるか、内容に問題がないか必ず確認しましょう。
ここから労働条件通知書の記載事項について解説していきますが、労働条件通知書に記載する事項には「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」の2種類があります。「絶対的明示事項」とは労働契約の基本的な条件となる部分で必ず明示しなければいけない事項になります。一方、「相対的明示事項」とは、会社でその事項について就業規則等で定めをしている場合に明示しなければならない事項になります。
<ポイント>
・労働条件通知書を受け取ったら、記載事項が網羅されているか確認する
・労働条件通知書の記載事項には「絶対的明示事項」と「相対的記載事項」がある
・「絶対的明示事項」とは労働契約の基本的な条件となる部分で必ず明示しなければいけない事項
・「相対的明示事項」とは、会社でその事項について就業規則等で定めをしている場合に明示しなければならない事項
明示義務がある事項(絶対的明示事項)
まずは労働条件通知書に必ず記載しなければならない絶対的明示事項の項目です。
・労働契約の期間に関する事項
・就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
・賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む)
定めがある場合には明示が義務付けられた事項(相対的明示事項)
次に相対的明示事項の項目です。
・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
・臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
・労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
・安全及び衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰及び制裁に関する事項
・休職に関する事項
参考:【厚生労働省HP】採用時に労働条件を明示しなければならない事項
労働条件通知書のテンプレート雛形【厚生労働省のword,excelフォーマット】
労働条件通知書の雛形は厚生労働省のHPに掲載されていますのでそちらをご確認ください。厚生労働省HPでは、労働条件通知書が必要になる以下の事業場ごと、雇用区分ごとに雛形を公開しています。
<厚生労働省HP記載の雛形の区分>
・一般労働者用( 常用、有期雇用型/日雇型)
・短時間労働者用( 常用、有期雇用型)
・派遣労働者用 (常用、有期雇用型/日雇型)
・建設労働者用 (常用、有期雇用型/日雇型)
・林業労働者用 (常用、有期雇用型)
<主要な記載事項>
・契約期間
・就業の場所
・従事すべき業務の内容
・始業、終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定時間外労働の有無に関する事項
・休日、休暇
・賃金
・退職に関する事項
・その他(社会保険の加入状況、雇用保険の適用有無、など)
<厚生労働省HP 労働基準法関係主要様式>
労働条件通知書の記入例と書き方【正社員】
実際の入社の場面ではどのような労働条件通知書が交付されるのでしょうか。労働条件通知書は必要な記載事項さえ書かれていればフォーマットは自由となっています。下記に正社員として採用された場合の労働条件通知書の例を記載しておきます。
<労働条件通知書の記入例(正社員)>
労働条件通知書 2020 年 X月 X日 佐藤 太郎 殿 事業場名称・所在地 ○△産業株式会社 ○○県△市○△1-1 使用者職氏名 代表取締役 阿部 健太 | ||
契約期間 | 期間の定めなし | |
就業の場所 | 埼玉事業所(さいたま市□△1-1) | |
従事すべき業務の内容 | 埼玉事業所における一般事務及び総務 | |
始業、終業の時刻、休憩時間、所定時間外労働の有無に関する事項 | 1 始業・終業の時刻等 始業( 9時 00分 ) 終業( 18時 00分 ) 2 休憩時間(60)分 3 所定時間外労働の有無( 有 ) | |
休日 | ・定例日;毎週 土・日曜日、国民の祝日、その他( 盆・正月 ) ・非定例日;週当たり 1日 | |
休暇 | 1 年次有給休暇 6か月継続勤務した場合→ 10日 継続勤務6か月以内の年次有給休暇 ( 無 ) 時間単位年休( 有 ) 2 代替休暇( 有 ) 3 その他の休暇 有給( 夏期休暇2日 ) | |
賃金 | 1 基本賃金 月給( 230,000 円) 2 諸手当の額又は計算方法 (通勤手当 円 /計算方法:通勤距離に比例(最大月額1万円) ) 3 所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率 イ 所定時間外、法定超 月50時間以内( 25 )% ロ 休日 法定休日( 35 )% ハ 深夜( 25 )% 4 賃金締切日 毎月 末日 5 賃金支払日 毎月16日 6 賃金の支払方法( 指定口座へ振り込み ) | |
退職に関する事項 | 1 定年制 ( 有 ( 60 歳) ) 2 継続雇用制度( 有( 65 歳まで)) 3 自己都合退職の手続(退職する 14 日以上前に届け出ること) 4 解雇の事由及び手続 ・職務遂行に必要な適格性を欠いたとき。 ・事業縮小等会社都合によりやむを得ない事由があるとき。 ・解雇しようとする場合は30日前に予告する。予告しない場合は30日分以上の賃金を支払う。 | |
その他 | ・社会保険の加入状況( 厚生年金 健康保険 労災保険 ) ・雇用保険の適用( 有 ) |
労働条件通知書の記入例と書き方【パート・有期など】
こちらはパートなど期間の定めのある雇用の場合の記入例になります。
<労働条件通知書の記入例(パート・有期)>
労働条件通知書 2020 年 X月 X日 佐藤 太郎 殿 事業場名称・所在地 ○△産業株式会社 ○○県△市○△1-1 使用者職氏名 代表取締役 阿部 健太 | ||
契約期間 | 期間の定めあり(2020年 4月 1日~ 2021年 3月 31日) 1 契約の更新の有無 [更新する場合があり得る] 2 契約の更新は次により判断する。 ・契約期間満了時の業務量 ・勤務成績、態度 ・能力 ・会社の経営状況 | |
就業の場所 | 埼玉工場(さいたま市□△1-1) | |
従事すべき業務の内容 | 検品及び出荷作業 | |
始業、終業の時刻、休憩時間、所定時間外労働の有無に関する事項 | 1 始業・終業の時刻等 始業( 9時 00分 ) 終業( 18時 00分 ) 2 休憩時間(60)分 3 所定時間外労働の有無( 有 ) | |
休日 | ・定例日;毎週 土・日曜日、国民の祝日、その他( 盆・正月 ) ・非定例日;週当たり 1日 | |
休暇 | 1 年次有給休暇 6か月継続勤務した場合→ 10日 継続勤務6か月以内の年次有給休暇 ( 無 ) 時間単位年休( 有 ) 2 代替休暇( 有 ) 3 その他の休暇 有給( 夏期休暇2日 ) | |
賃金 | 1 基本賃金 時間給( 1,100 円) 2 諸手当の額又は計算方法 (通勤手当 円 /計算方法:通勤距離に比例(最大月額1万円) ) 3 所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率 イ 所定時間外、法定超 月50時間以内( 25 )% ロ 休日 法定休日( 35 )% ハ 深夜( 25 )% 4 賃金締切日 毎月 末日 5 賃金支払日 毎月16日 6 賃金の支払方法( 指定口座へ振り込み ) | |
退職に関する事項 | 1 定年制 ( 有 ( 60 歳) ) 2 継続雇用制度( 有( 65 歳まで)) 3 自己都合退職の手続(退職する 14 日以上前に届け出ること) 4 解雇の事由及び手続 ・職務遂行に必要な適格性を欠いたとき。 ・事業縮小等会社都合によりやむを得ない事由があるとき。 ・解雇しようとする場合は30日前に予告する。予告しない場合は30日分以上の賃金を支払う。 | |
その他 | ・社会保険の加入状況( 厚生年金 健康保険 労災保険 ) ・雇用保険の適用( 有 ) |
労働条件通知書の確認ポイント【いつもらえる?もらったらどうする?】
労働条件通知書を受け取ったら、以下のポイントを中心に内容を確認しましょう。
<労働条件通知書の確認ポイント>
・記載すべき事項が漏れなく記載されているか
・記載された条件が、選考時に聞いていたものと相違ないか
・賃金、退職金、休暇などの条件は納得できる内容か
労働条件通知書はいつもらえる?【中途入社の転職でもらうタイミング】
実際の転職活動では労働条件通知書はいつ貰えるのでしょうか。
労働条件通知書の交付時期は企業によってまちまちで、内定後すぐにもらえる場合や入社日にもらえるケースなど様々です。労働条件通知書は入社を判断するために重要な書類ですから、入社を決めるにあたり内容を確認したい場合には、内定とともに労働条件通知書を交付してもらえないか企業に問い合わせをしてみると良いでしょう。私がこれまで転職をした会社では、内定後すぐ(入社前)にもらえる会社もありましたし、入社初日の入社説明・オリエンテーション時に交付する会社もありました。ただ、正直な感想としては転職時に現職で退職交渉を始めたら後戻りはできないことを考えると、内定とともに交付してくれない会社は不誠実だと思います。
労働条件通知書を入社日にもらう場合は、労働条件通知書に記載の内容が事前に聞いていた条件と相違ないか必ず確認してください。
労働条件通知書がない、もらえない場合の対処法
労働条件通知書をもらえていない場合はまずは企業に問い合わせをしてみましょう。
労働条件通知書は法律により交付が義務付けられている書類なので、企業は必ず労働者に交付をしなければいけません。ただし、労働条件通知書に記載すべき内容を雇用契約書等に記載している場合は、それをもって代用しているケースもありますので、企業に確認をしてください。
そもそも労働条件通知書を交付していないという企業は、法令違反の可能性があります。転職エージェント経由で採用選考を受けている場合は、転職エージェントの担当者に確認をしたり、どうしても不安な場合は、入社そのものを考え直した方が良いでしょう。
労働条件通知書と雇用契約書の違い
会社で働き始める人と取り交わす書類のもう一つに雇用契約書があります。労働条件通知書と雇用契約書との違いはどこにあるのでしょうか。
労働条件通知書は会社が働く人に対して交付する書類である一方、雇用契約書は会社と働く人が労働条件等の契約内容について確認しあい、署名・押印のうえ、双方で保管しておく書類です。記載内容としては、労働条件通知書と雇用契約書は同じような内容が書かれていることが多いです。
<書類の交付について>
労働条件通知書 → 会社から働く人に交付
雇用契約書 → 双方で確認して署名・押印・保管
<書類の交付義務>
労働条件通知書 → 義務あり
雇用契約書 → 義務なし(任意)
<書類の記載内容>
労働条件通知書も雇用契約書も記載内容はほとんど同じ
まとめ 労働条件通知書とは?中途はいつもらえる?【記入例、記載事項、交付義務】
転職活動では、転職活動を経て新しい会社で活躍をしたり、理想の労働環境を手に入れることが目的なはずですが、ついつい内定を手にしたところで気が緩んでしまいがちです。求人票や面接で聞いた条件はあくまで暫定のもので、あとから言った言わないの議論になっても困るのは会社ではなく転職者側なので、必ず働く上での諸条件については労働条件通知書で確認しましょう。
【大手企業内定者が解説】失敗しない転職講座メニュー
第二新卒、未経験職種という底辺の転職から、その後のスキルと経験の蓄積によって、超大手企業への内定を獲得しました。ノウハウはブログ記事にまとめています。
・退職交渉の流れと切り出し方【引き止めで難航、進まない失敗例】